縦割りを壊し、カーライフに寄り添う。WECARS戦略責任者インタビュー

WECARSは中古車の大手として、車のライフサイクル全体に寄り添う体制を整えています。伊藤忠グループの一員として新体制をスタートさせた同社が掲げるのは、「お客様ファースト」の徹底と、販売・買取・整備・鈑金という4事業部を横断したトータルカーライフサポートの実現です。
しかし、ただ事業部が並んでいるだけでは、お客様にとってひとつの体験にはなりません。4つの部門をつなぎ、サービス利用を起点にリピートを生み出す仕組みが必要です。
この度、4事業部を束ねる事業本部長に就任した小林慈礼氏は、2006年の入社以来、現場のあらゆるポジションを歩いてきた生え抜きの幹部です。新たなポジションに立った今、何を変え、何を目指すのか。その取り組みについて話を聞きました。
「店を自分で探して、出店して」現場を歩き続けた20年
現場一筋で歩んできた小林氏が、どのようにして4事業部を束ねるポジションに就いたのか。そのキャリアと着任の経緯を聞きました。
小林氏(以下、小林): 入社が2006年になります。買取事業部の営業からスタートしました。キャリアを重ねて店長になり、その後、新規エリアの開拓を任されました。東北のエリアとかは、自分で店を探して出店をしていくということをやっていたので、非常に経験になりました。

小林 慈礼(こばやし・よしひろ)氏
WECARS 事業本部 本部長
2006年に入社し、販売店・買取店の店長職を経て、営業本部で現場マネジメントを担当。20年以上にわたり車の売買に携わり、市場の流れを現場から見続けてきた。2026年より現職として事業本部全体を統括。豊富な経験から、相場の構造や動きを的確に読み解く。
小林: 買取店が増えていく中で、今度は販売店の出店も増えてきまして、販売店の店長を任されました。6店舗の店長を経験し、さまざまなエリアに行って、営業本部の仕事も並行して進めていたような状況です。
今回、タイミングもあって事業本部長ということになりましたが、メインはもちろん営業です。ただ、既存のサービスが1つにならないと、なかなか会社としてうまく回っていかないという実感があります。
今まで縦割りの状況で、買取は買取、販売は販売、サービスはサービスと分かれていましたので、よりここの連携が必要だと思うんです。私がトップに立たせていただいたので、各事業責任者と全員で連携しながら1つにまとめていくという形で考えています。
「販売後の車検も継続して利用して頂きたい」4事業部が生み出すカーライフの循環
縦割りを壊してシナジーをつくる。それがミッションだと語る小林氏が、特に注力しているのが「車を売った後(購入したあと)」のお客様との接点です。
小林: 今までも連携はしていたつもりなんですけども、まだまだ薄い部分がある。それがこれからの会社の成長において課題になると思っています。車を売る買うというのはもちろんですが、やはり売った後(お車を購入していただいた後)なんですよね。車検を受けていただいたりだとか、整備をご利用いただくお客様のリピート率をまだまだ増やしていきたい。これはサービス部門だけではなかなか実現できないテーマだと思っていて、販売・買取の営業スタッフが積極的に絡んでいくことが大事なんです。
それに、実は1日に来店するお客様の中で、車を買いたい・売りたいというお客様よりも、オイル交換だったりだとか整備・車検でご利用いただくお客様のほうが数としては多いんです。そこにも営業が関わることで、車を売りたい・買いたいとなった際に我々にお声がけいただける。そういった会社全体での相乗効果を出していきたいんです。
この発想を具体的な施策に落とし込んだのが、現在展開しているキャンペーンです。車をご購入いただいたお客様は次回の車検を基本料無料にするという内容で、新規のお客様を整備につなぐ入口にもなれば、既存のお客様が「車検だけ他に持っていく」状況を防ぐ手立てにもなると思っています。このように両方から取り込めるような施策を今後も続けていきます。
営業の「売りたい、売りたい」をまずなくしていく。お客様ファーストの実践と、現場への浸透
WECARSが会社として掲げる「お客様ファースト」。この理念を、小林氏はどのように現場に根づかせているのでしょうか。

小林: 来店されるお客様は車の整備、売却、販売、そのどれにあっても、何かしら困りごとがある、もしくは今の車の状態に不満があるという方がほとんどだと思っています。ですので、まずはそこに寄り添って聞くということ。そして、ただ聞くだけではなく、我々がプロとしての提案をする。この「お気持ちを聞くこと」と「提案をすること」この2つが我々の仕事の軸だと考えています。
世に言う営業マンというと、自社の商品を売るというイメージだと思うんですけども、昔ながらの「売りたい、売りたい」というのはまずなくしていこうと。今うちにある在庫の中でどの車がお客様に合っているのかを伝えて、最終的な決定権はお客様にある。あくまでも我々の仕事は聞くことと提案をすることだと思います。
この理念が現場に浸透しているかを測る仕組みとして、WECARSでは全部門で顧客アンケートを実施しています。買取・販売・整備・鈑金でご利用いただいた全てのお客様が対象で、月に約3〜4万件の回答が集まっています。
ネガティブな回答に関しては、本部で吸い上げて、毎朝の幹部会で必ず共有してすぐに対応するという活動をWECARSになってから毎日やっています。今では95%とか100%に近いようなポジティブな評価をいただくんですけれども、ネガティブな案件があった時にすぐ現場として対応できる体制を整えることで、サービスのクオリティをさらに上げています。
また、サービス部門では「技術大会」を開催し、整備士の接客レベルや提案力、サービスフロントの対応力を競い合う場を設けています。こうした地道な取り組みの積み重ねの中で、アンケートの点数が目に見えて上がってきました。個別で「誰々の接客が良かった、感動した」というような言葉を毎日我々も見ていますが、明らかにこの数が増えてきたという実感はあります。
「金額の見える化を進めていきたい」デジタルが変える、車売却の体験
市場の変化についても、小林氏は現場目線で率直に語ります。
小林: 買取に関しては、皆さんメインとしては一括査定の媒体を利用されているかなと思います。今の買取集客の流れが、どうしても事前入札からの流入というのがほとんどです。
現場として状況を見ていると、入札金額をしっかり守って正直に商売をしている会社さんと、そうではない会社さんとで非常に二極化しているイメージがあります。大手、我々で言うライバル会社さんに関しては、どこもルールを守った上で運営されていて非常にクリーンです。ただ一方で、そうではない会社さんがまた増えてきてしまったのかなという懸念は持っています。
とはいえ、売却前にある程度金額を知った状態でユーザー様が動けるようになったという点では、業界全体がイメージを回復しているのかなとは思います。そうした流れに対してWECARSが取り組んでいるのが、「金額の見える化」です。
自社サイトから「1分WE査定」というお客様が簡単な入力を行うだけでかなりリアルな買取金額を事前にご提示できます。
加えて、2026年7月からは「スマホでWE査定」というサービスを開始しました。お客様が写真を撮って情報を入力していただくと、契約前の段階で我々の買取金額を具体的にお伝えするというサービスです。
これによって、昔よくあった「安く買い叩かれた」とか「聞いていた金額と全然違う」ということはかなり減らせると思います。

――お客様を待たせない、という点にも小林氏は力を入れています。
小林: アンケートの中でも、待ち時間が多かった、約束の時間が若干伸びてしまったといった意見が非常に多くあります。他社の口コミを分析しても、不満足の要因のトップは「時間がかかった」か「約束の時間が守れなかった」というところです。
ですので、まずはお客様を待たせないことが一番です。一人のお客様に時間をかけないというわけではなくて、その中で無駄だった待ち時間をできるだけ短くしたい。車の査定であれば、アプリを使って写真を撮って進めていく流れにしていますし、傷の確認も画像で残せますので、デジタルの開発はどんどん進めています。
お客様との接点づくりでもデジタルが軸になっています。LINE連携による顧客の一元管理を進め、車検・点検・オイル交換の時期をスムーズに案内できる体制を整えています。また、AIを活用しお客様へ乗り換え時期の最適な提案も始まっておりますし、過去に我々に売却いただいたお客様に対してSMSやSNSで発信することも始めています。
そういった小さなところを今後もコツコツと積み重ねていきたいと思っています。
「整備であればWECARS」売り買いを超えた、業界でのポジションを目指して
お客様ファーストの実現と業務効率化の両立に向けて、小林氏は本部と現場の距離を縮める取り組みも進めています。
小林: 会社が年数を重ねていく中で、問題を解決するためにシステム化が進んだ結果、業務が凝り固まってしまった部分がかなりあります。自分が店長をやっていた時の状況と今では変わっている部分もありますし、地域・店舗によって課題も異なる。
だからこそ、私を含めて経営層が現場に行って直接話を聞き、無駄だと判断したものはその場で全て解決していきます。 吸い上げたものを週に1回のミーティングでも共有して、徐々になくしていく作業を今やっています。根本にあるのは、やはり顧客対応をどれだけスピード化できるか。お客様を待たせないということです。
グループとしてのネットワークも、サービスの幅を広げる力になっています。自社で整備を提供しきれないエリアでは、グループのネットワークを活用し、お客様にタイムラグの出ないサービスを届けています。またグループの海外ネットワークを活かした直接輸出も始まっており、全ての車に対して金額的・条件的に安心できる提示ができる体制を整えつつあります。
――こうした環境整備の先に、小林氏が見据えるのは「整備でWECARSを知ってもらう」というポジションの確立です。
小林: 指定工場の数もだいぶ戻ってきまして、今72箇所で、もうすぐ100箇所前後というところまでは見えてきています。まずは全店が指定工場をしっかり取った上で、売り買いとは別のところでWECARSという名前を出していきたい。
今の業界の中で「車を修理するならどこの会社だ」というイメージは、おそらくどこの会社もまだ持っていないのかなと思います。車で何か困ったことがあればWECARSに行けばどうにかなる。そういうイメージをつくっていきたい。そのイメージができれば、自然と車の販売や買取にもつながっていくと考えています。
取材を終えて
買取営業から始まり、自ら店を探して出店した東北エリアの開拓、6店舗の店長と営業本部、そして事業本部長へ。約20年にわたる現場の積み重ねがあるからこそ語れる言葉が、今回の取材には詰まっていました。
印象的だったのは、「地道に」という言葉を何度も使っていたことです。月3〜4万件のアンケートを毎日の幹部会で共有し、ネガティブな声にはその日のうちに対応する。現場に足を運び、凝り固まった仕組みをその場で解きほぐしていく。華やかな戦略を語るより先に、一つひとつの積み重ねが組織を変えるという確信が、小林氏の話し方ににじんでいました。
「整備であればWECARSに行けばどうにかなる」。その未来が実現した時、WECARSは車を売り買いする場所を超え、カーライフそのものに寄り添う存在になっているでしょう。
この記事で紹介したサービス
基本サービス
| サービス名 | ウィーカーズ |
| 店舗持ち込み査定 | あり |
| 無料出張査定 | あり |
| 無料車両引取り | なし ※査定額に影響あり |
| 対応地域 | 全国 |
セールスポイント
- 査定日から7日間の価格保証
査定した日から7日間は、査定額が保証される制度があります。 - 引き渡し日翌日までキャンセル可能
契約後でも、車を売却したくないという要望に対応。 - 販売価格に近い価格での買取が可能
全国約240店舗における仕入れから販売までの直売方式や、車種の人気が高いエリアの相場で買取を行うことで、できるだけ高値での車売却が可能。
