「変化の起点」が業界を変える グーネット車買取経営者に聞く

グーネット社長白木様

中古車の売買において、情報の非対称性や不透明な査定プロセスへの不信感は、長年にわたり消費者が抱え続けてきた問題です。国内最大級のクルマ情報プラットフォーム「グーネット」を運営する株式会社プロトコーポレーションは、創業以来49年にわたり、修復歴や走行距離の開示といった情報の透明化を通じて、業界の健全化に取り組んできました。

創業家によるMBOを経て2025年6月に上場廃止となり、グーネット黎明期からその開発を牽引してきた人物が代表取締役社長の座に就きました。インターネット黎明期に「絶対来る」と信じてグーネットを生み出し、沖縄での会社立ち上げ、プロバスケットボールチームの経営まで手がけてきた白木 享社長は、就任時に「ダイナミックなパラダイムシフトが必要」と宣言した通り、今まさにその構造転換を進めています。

「一般ユーザー、販売店、買取店が損をしない流通」——白木社長が語るその言葉の背景には、どのような軌跡と信念があるのでしょうか。

2026年4月に大幅リニューアルを果たした「グーネット買取」に込めた思いとともに、白木社長に話を聞きました。

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目次

インターネット黎明期に賭けた確信

1990年代後半。インターネットという言葉がまだ一般に浸透していなかった時代、白木社長は前職の大塚商会でテクノロジーの最前線にいました。その経験が、すべての原点となります。

白木氏(以下:白木):前職の大塚商会では、ほぼインターネットの入り口の仕事をしていました。アメリカ向けなどで面白いテクノロジーがたくさん出てきた時期で、夢中になっていましたね。たまたま今の会長(プロトコーポレーション 代表取締役会長 横山 博一氏)とお会いする機会があって、インターネットのことを話す中で「来ないか」と言っていただいて、入社することになりました。

白木 享(しらき・とおる)氏

白木 享(しらき・とおる)氏
株式会社プロトコーポレーション 代表取締役社長

1970年生まれ、愛知県出身。株式会社大塚商会でインターネット黎明期のビジネスに従事したのち、1998年プロトコーポレーションに入社。IT部門に従事し、グーネットの開発を牽引。国内最大級の中古車情報プラットフォームへと成長させる立役者となった。2007年にはグループ子会社・株式会社プロトソリューション(当時・株式会社プロトデータセンター)を沖縄に設立し、代表取締役社長として18年間リーダーシップを発揮。2022年7月より沖縄バスケットボール株式会社(琉球ゴールデンキングス)代表取締役社長を兼務。2025年4月にMBO(TOB)が成立。同年6月16日の上場廃止に伴い、同30日にプロトコーポレーション代表取締役社長に就任。

白木:当時、ハードウェアのパソコンがあって、ソフトウェアがあって、ネットワークがある。これらは環境なので、この環境の上にコンテンツが乗るとビジネスになる、という話を会長にしたんです。Yahoo!も始まったばかりで、インターネット上にコンテンツがほぼなかった時代です。当社には中古車情報誌グーという雑誌があって、車が1台1台たくさん載っていた。これを1台1台インターネットで見せたら絶対に面白いということは、すごく感じていました。

それで、3,000万円から4,000万円の予算を盛り込んだ提案書を出して「とりあえず1回やりませんか」という感じで承認を得ました。全然ペイできるような計算はしていないんですが、インターネットの存在はこれが次に来るだろうということは、経営側のメンバーも理解していたのが大きかったと思います。

ただ社内の空気は冷ややかでした。当時はリクルートのホットペッパーなど、紙媒体がどんどん伸びていた時代でしたから、我々グーも週刊発行で厚い本を出していたんです。営業のメンバーからは「なんであいつらに金を払うんだ、インターネットが伸びれば雑誌が売れなくなるじゃないか」という感じで、抵抗勢力的に見られていましたね。嫌なやつという感じで見られていたと思います(笑)。でも、絶対次の波が来るって分かっていたんで、やり続けることができました。

沖縄で学んだ、理念が人を動かすということ

グーネットをインターネット上で成長させながら、白木社長は2つの気づきを重ねていきます。「内製化」という経営判断と、「理念が人を動かす」という発見です。

白木:グーネットのサービスがどんどん巨大化していく中で、データやコンテンツを作る工程を外部に任せ続けると、原価コストがどんどん上がっていく。日本は外の会社が儲かる仕組みで、事業そのものをしている会社が儲からない構造になっていたんです。その点、アメリカでは基本的に内製なんですよね。だったら内部で持てるなら持ったほうがいいということになって、本を作る工程とコンテンツを作る工程は全部内部に置こうということでスタートさせました。

こうして2007年、内製化の拠点として沖縄にプロトデータセンター(現、プロトソリューション)を設立しました。沖縄は自動車社会で人口も伸びていたので、同時にグーネットのメディア展開も進め、グー沖縄版を創刊しました。

その認知拡大のためにプロバスケットボールチームの琉球ゴールデンキングスのスポンサーになりました。球団のオフィスが近くにあったので運営会社の木村社長とよく食事に行くようになり、スポーツビジネスへの夢を聞かせてもらっていました。元々スポーツビジネスには興味があったので、だんだんと引き込まれていったんです。

コロナ禍で球団の収益が落ちたタイミングで経営を任され、引き受けることになりました。この経験を通じて強く実感したのが、理念の力です。私はチームの活動理念「沖縄をもっと元気に」を、社長として選手にもスタッフにもお客様にも自ら言い続けていたんですが、次第に外国人選手を含め、選手たち自身が地域や県を愛することの重要性を理解してくれるようになっていったんです。理念を言い続けることで、人は動く。そのことをこの時期に体感し、理念を共有することが、いかに重要かを改めて確信した経験でした。

日本社会のために担う事業

2025年6月にプロトコーポレーション代表取締役社長に就任した白木氏は、就任の挨拶で「ダイナミックなパラダイムシフトが必要」と宣言しました。その言葉の背景には、日本社会の行方を見据えた問題意識があります。

白木:今、日本という国がすごく大きな分岐点に来ていると思っています。食料自給率の問題、インフレの問題があります。車のインフラやモビリティは国内産業の根幹なので軸として続けますが、これからは社会的事業にも国全体で目を向けていかないと、温暖化で食料が不足したり、輸入に過度に依存していると有事の際に物資が届かなくなったりと、様々な問題が起きていくと思います。長期的な戦略として、我々の会社が社会的な意味を持ちながら経済を回し続けることが、すごく重要だと考えています。

そもそも車に乗るのはなぜかといえば、旅行に行きたい、バスケットボールの試合を見に行きたい、美味しいものを食べに行きたいという目的が必ずあると思うんですよね。社会の基盤となっているのが社会的事業だと思うので、それがあってこそ経済的事業のモビリティ事業もあるはずです。だからこそ、就任以来プロトコーポレーションとして力を入れているのが、両者を掛け合わせた事業展開です。農業・養殖事業・スポーツビジネスといった領域でそれぞれ成果が出始めており、この方向をさらに伸ばしていきたいと思っています。

2つの事業(経済的事業、社会的事業)、8つのフィールド(モビリティ、スポーツ、農業、教育、人材、地域創生、不動産、リユース)
2つの事業(経済的事業、社会的事業)と8つのフィールド

——社会的事業への取り組みはCSR(企業の社会的責任)として捉えられることも多い。しかし白木社長はきっぱりと言います。

白木:CSRというより「社会に貢献しながら経済を回す」それ自体を事業戦略として捉えています。経済的事業はプラットフォーム的なものにこだわっていく一方で、社会的事業はブランドを作っていくことが重要だと思っています。国産ブランド、地域に根ざした人たちに愛されるブランド。スポーツも農業も養殖事業も教育も、地域できちっとブランド化していければ食料自給率や地元も盛り上がっていくのではないかと考えています。

この「会社として社会課題を担う」という姿勢は、新入社員の研修にも反映しています。新卒研修は農業や養殖事業を体験することから始めていて、過酷な環境で働いて初めて食卓に並ぶものの意味が分かる。その実感は大きいと思っています。もともと車情報一筋だった社員も、農業の現場に実際に入って一緒に作業をするうちに「こんなにトマトが美味しかったんだ」と気づいてくれるようになっています。自分たちの仕事が社会とどう繋がっているかを体で知った社員は、会社の理念を自分のものとして動けるようになる。それが、会社全体を変えていく力になると思っています。

社員一人ひとりを「変化の起点」に

白木社長が就任前から10年近くにわたって使い続けているキーワードが「チェンジングカンパニー」です。それは単なるスローガンではなく、社員の日々の行動への、具体的な問いかけです。

白木:上場していた頃は株主の方々が一番重要でしたが、私が常に思っていたのはお客様です。商品を買っていただいたり、サービスを使っていただいたりするお客様が「我々のサービスがあって良かった」と思っていただくことが一番重要だと思っています。

AIが急激に出てきて世の中を変えているように、常に世の中は変わっていくので、我々は「挑戦を未来の力に変える」を経営理念として掲げております。変化する世の中に対して挑戦し続けないといけないので、社員一人ひとりが変化の起点に立ち、お客様をより良い方向へ導いていくことにこだわっていきたい。それが「チェンジングカンパニー」という言葉に込めた思いです。

小さなことからでいいんですよね。たとえばゴミが落ちていたら拾ってゴミ箱に捨てる。そうすると、周りの人も拾わなくちゃいけないと思う。これも変化の起点なんです。事業の中でも、ちょっとした気づきで何かを少し変えることによって売上が1%でも上がるなら、そこに変化が生まれています。社員一人ひとりにそういう意識を持ってもらいたいと思っています。

そして、その小さな変化が積み重なって、社会を変える。30年後、40年後に「あの時プロトが変えたんだ」と言ってもらえる会社になっていれば一番いいですし、そうなるように頑張ります。

スクロールできます
プロト手帳
「チェンジングカンパニー」という考え方のベースとなる部分をメッセージとして出している。社員が迷ったら見られるようにしている。
社内報
社長自ら、思いをつづっている

49年目の宣言

2026年4月、プロトコーポレーションは「グーネット買取」を大幅にリニューアルしました。事前査定機能とエスクローサービスを新たに追加したこのリニューアルには、新体制が業界に対して打ち出した明確なメッセージが込められています。

白木社長

白木:この49年間、メーターや修復歴の問題など、外からは見えないものを可視化し、情報の非対称性を小さくすることで業界を健全にしていくことをテーマにやってきました。購入される方が安心して買えるよう情報を整備することをベースに、グーネットでやり続けてきたんです。一方で、買取の分野は今後ますます重要になってくると思っています。中古車の流通台数が新車を上回っていく流れの中で、自分が持っている車の価値がこれまでより高く維持される可能性があり、「新車が中古車市場に出ればすぐ値が落ちる」という従来の常識が崩れ始めています

車の流通金額がいくらか明確に分かっているわけですから、一般ユーザーが損をしないようにし、買取店や事業者も損をしない、不正が起きないような状態を作っていくプラットフォームを作り直す必要があると思っていました。

だから我々がリードする立場に立たなければならないと考え、4月に大きくスタートさせたのです。

我々は単なる広告媒体ではなく、業界インフラでなければなりません。一般ユーザーが安心してお店を選べる環境を作ること。それが業界インフラとしての責任だと思っています。値段の高さだけでなく、お店の姿勢や信頼性で選べる選択肢があるべきで、健全なお店が残っていける市場にしたい。過去に問題が起きやすい環境があったのは事実ですが、だからこそ一般ユーザー、販売店、買取店が損をしない、透明で公正で信頼できる流通を我々が作っていかなければなりません。

私自身もグーネット買取で実際に車を売ったことがあります。その経験から感じるのは、買取店の意識が確実に変わってきているということです。それでも、一般ユーザーへの情報提供にはまだまだ伸びしろがある。市場を健全に成長させるために、できることを全力でやっていきたいと思っています。

グーネット顧客満足度NO1

取材を終えて

取材を通じて最も印象的だったのは、白木社長の言葉が常に「お客様」から出発していることでした。上場時代について触れた際、「株主の方々が一番重要でしたが、私が常に思っていたのはお客様です」と語ったシーンは、経営の根にあるものを端的に示していたと思います。

グーネットを生み出した黎明期の確信も、沖縄で18年間組織を育てた経験も、琉球ゴールデンキングスで体感した理念経営も、そして今回のグーネット買取リニューアルも、すべてが一本の線でつながっています。「絶対来る」と信じて動き続けてきた技術者の目が、今は業界全体の未来を見据えている。

「一般ユーザー、販売店、買取店が損をしない流通」この言葉を実現するために、49年目を迎えたプロトコーポレーションはいま、大きく踏み出しています。その挑戦の行方を、これからも注目していきたいと思います。

※この記事は2026年6月時点の情報で制作しています

この記事で紹介したサービス

サービス

サービス名グーネット買取
タイプ比較型
紹介業者数ユーザー任意選択
仲介対応範囲対応できる買取業者の紹介まで
申込後キャンセル買取業者の紹介までなので可能
対応地域全国

セールスポイント

  • 車買取相場がすぐにわかる
    愛車の買取相場がいくらぐらいになるか、匿名で調べることができます
  • 買取店を自分で選べる
    全国にある中古車買取店から、自分にぴったりのお店を検索し申込みができます。
  • 利用者の声が確認できるから安心
    気になった中古車買取店で実際に売却した利用者の口コミを知ることができます。
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