WECARS多摩店に潜入!買取人気店レポート

WECARS多摩店

買取市場にも「人気店」といわれる店がある。同じ買取業者の店舗同士でも、集客力には明らかな差があり、その要因は地域や立地条件だけでは説明できない。

では、人気の店には何があるのか。その秘密を暴くべく編集部が実際の現場に潜入し、レポートするのがこの企画「買取の現場から」だ。

今回はWECARSの中でも群を抜く人気店、WECARS多摩店に潜入した。雨の平日、記者が一日密着して見たもの。そして店長へのインタビューで明らかになった「選ばれる理由」とは――。

目次

どんな店?――雨の日でも途切れない来客

6月の平日、雨が静かに降るなか、記者はWECARS多摩店を訪れた。

まず目に入ったのは、敷地の広さだ。展示・保管している車両はWECARSグループ内で全国ナンバーワンとなる265台(取材時)。整然と並ぶ車の数は、この店の規模を一目で実感させる。

雨の中、営業スタッフが店の外に立っていたのが目についた。来店する車を駐車場まで誘導し、要件を聞いて中に案内する。”待機”と呼ばれるこの動きは、天候に関係なく行っているそうだ。

WECARS多摩店は買取だけの店ではない。買取・販売・整備がすべてここで完結する。近隣にはWECARSの買取専門サテライト店もあるが、わざわざ多摩店まで足を運ぶ客が多いのは、この「全部できる」という強みが大きい。

広いピット。奥もあるので一度にかなりの台数が対応できそうだ

店内に入ると、大きなキッズスペースが目に入る。おもちゃや絵本、お絵描きコーナーが揃い、無料のお菓子やドリンクも充実している。査定の待ち時間に退屈することはなさそうだ。車の買取店というより、家族で来れる場所という雰囲気だった。

接客スペース。かなり広い。体育館くらいある
子どもが帰らないと言い出しそう
塗り絵をするとおもちゃがもらえる
土日はポップコーンマシンが稼働

平日だというのに来客が途切れることはなかった。さすがにお子さん連れの姿はないが、夫婦で訪れる客も少なくなかった。それでも、「天候の影響でいつもよりは少し静かな日」だとスタッフは言った。 

取材中も、予約なしで立ち寄るお客さんがちらほらいた。

あるお客さんは、ご両親の乗り降りが難しくなってきたことをきっかけに乗り換えを検討中で、相見積もりの一環として査定額だけを確認しに来たという。

金額を聞き、一通りの説明を受けると、「参考になりました」と言い残して帰っていった。 営業スタッフが引き留めることはなかった。こうした「ちょっと聞くだけ」という使い方が自然にできる空気が、この店にはあった。

査定の現場に密着――ひとつの商談を、3つの視点で追う

続いて、予約客の査定にも立ち会った。欲しい車の購入と下取りを一緒に相談したいというお客さんだ。

15分の査定

お客さんがヒアリングシートを記入している間に、査定が始まった。15時10分。スタッフはスマホで車体を次々と撮影していく。傷や塗装の状態、タイヤの溝、内装の状態──。1台をあらゆる角度から記録するその表情は真剣そのものだった。 わずか15分で査定完了。早いだけではない。密度が濃い。

15時25分から商談が始まった。前半は乗り換え候補として見ていた車の話が中心で、その後、査定額の提示へと移る。

買取価格は他社と同額だったようだが、スタッフは次の車でのメリットを丁寧に説明していた。16時にはすべての工程が終わり、お客さんは「明日返事します」と言って帰っていった。

所要時間はおよそ1時間。買取だけを抜き出せば、30分もかかってないだろう。

お客さんはどう感じた?

査定を終えたお客さんに話を聞くことができた。八王子から来店したこの方、家から1番近い買取店ではない。 カーセンサーで欲しい車を見つけ、「どうせなら下取りも一緒に」と足を運んだのがきっかけだった。ここが4、5件目の訪問先だという。

――今日話を聞いてみて、買取と購入、どうされる感じですか?

客)とりあえず、話をうかがって感触はいいです。まだ決定はしてないんですけど、もう1つの候補とどっちにするか。

――接客の印象は?

客)とてもいいと思います。イエスだけじゃなくて、これはこういうことですってちゃんと受け答えしてくれるので。あんまり『はいはい』って言われても、『うん?』ってなっちゃうんで。車の値段や条件だけじゃなく、対応してくれる”人”で選ぼうと思ってるんです。人との付き合いなんで。

条件だけで選ばない。納得できる対応をしてくれる「人」がいるかどうか。4、5件を回ってきたからこそ出る言葉だった。

査定担当スタッフに聞く

今回の査定を担当したのは、入社2年目の若手営業スタッフ、田原さんだ。前職は銀行の法人営業という異色の経歴を持つ。

――今日のお客さんのニーズはどういった感じでしたか?

田原)事前にカーセンサーでうちの在庫も確認されていて、『この車』というのがもう決まった状態でした。一番気にされていたのは次の車の状態。いろいろ不安もおありだったので、カーセンサーの鑑定書をお見せして安心材料にしました

――買取額は他社と同額だったそうですが。

田原)はい、同額となりました。しかし、下取りが高いから乗り換えますという話じゃないと思うので、次の車でのメリットを重点的にお伝えしました。

――接客で意識したことは?

田原)まずはお時間ですね。タイムリミットがあったので、できるだけ迅速に対応しました。奥さんもずっと車の中でお待ちでしたので、ここで話すより家で話したいのかなと推察しました。押すところと引くところのバランスを取って、最終的に『明日の結果出し』というところまでこぎつけられたのは良かったと思います。

――普段から意識していることはありますか?

田原)お客様がまた来てもらえるような空気感を意識しつつ、WECARSという会社を好きになっていただくこと。また、個人としては『田原さんでよかった』と言ってもらえる接客を常に意識しています。

密着で見えてきたもの

一日密着して見えてきたのは、「圧のなさ」だった。飛び込みで来た人を引き留めない。査定だけで帰る人を追いかけない。商談では、お客さんが求めるメリットで勝負する。その接客があって「ちゃんと受け答えしてくれる」と来店した方々に評価されていた。来店数がグループ内トップレベルという実績も、こうした空気の延長線上にあるのだろう。

だが、それだけで「人気店」になれるものだろうか。押し売りをしないのは、いまや多くの買取店で当たり前のことだ。 それなのにWECARS多摩店はリピーターや紹介客が増えているという。雨の日に営業マンが外で立って出迎えるのも、ただの親切心とは思えない。この店には、もっと根本的な仕組みがあるのではないか。

店長に聞く「人気の正体」

取材の最後、店長の宇田川和郎さんに話を聞いた。記者が現場で感じた疑問をぶつけると、人気の正体が見えてきた。

――今日、営業スタッフの方が雨の中で外に立ってお客さんを出迎えてた「待機」。大変なものだと思いますが、そこまでする理由は?

宇田川)他の会社さんはたぶんあんまりやってないかなと思います。WECARSができてから、できることを全てやろうと店舗で共有したんです。誘導ひとつとっても、誰にでもできることなんですよ。でも、この小さな積み重ねが紹介やリピーターに繋がっている理由だと思ってます。

――たまたま査定だけで帰るお客さんが続くスタッフもいると思います。成績に影響しませんか?

宇田川)うちはノルマがないんですよ。業績評価と行動評価に分かれていて、お客様のアンケート評価が高い人の方が総合評価では上になる仕組みです。朝礼でもずっと言ってるんです。買う、買わないじゃなくて、お客さんの目線に立った接客をしよう、と。それしか言ってない。

――でも、業績評価がある以上、押し売りに繋がりやすいのでは?

宇田川)コンプライアンスがもう一丁目一番地。極端な話、他社さんが100万だったけどうちだと頑張っても95万。でも『あなたの対応が良かったから信用できる、任せます』って言ってもらえることがある。それが目指すべきところです。

――店長が考える「買取店の営業に一番必要なもの」は何ですか?

宇田川)人間力と接客力。営業を十数年やって、そこにたどり着いたんですよ。車の知識より、お客さんを知ろうとすることの方が重要。10人いれば10人違うんで、マニュアルの言葉ではお客様の耳には届かない。自分の言葉で伝えないと伝わらないんです。査定ひとつをとってもそうです。お客様が家族で愛着を持って乗ってきた車なんで、金額がつくつかないじゃなくて、大切に乗られてきたっていうのを認識した上でしっかり対応する。引き渡しの時にお客さんが車と写真を撮ることもあるんです。そういう思いも汲み取りながら、1つひとつ丁寧に。それが買い取りだと思ってます。

――その考えをスタッフにはどう伝えているんですか?

宇田川)日頃から細かいことも言いますし、商談報告の時にアドバイスしたり、時間がある時はロールプレイングもやります。ただ、私の真似をしても多分できないんですよ。話し方も間もタイミングも人それぞれなんで、自分のスタイルを見つけてもらうしかない。あとは、商談中のスタッフじゃなくてお客様の顔を見ています。表情を見てれば大体分かる。笑ってるように見えても本心で笑ってなければ、それは伝わりますから。

人気の正体とは

取材を終えて振り返ると、「人気の正体」はひとつの施策や仕掛けではなかった。雨の日の出迎え、押し売り営業をしない空気、ノルマではなく行動で評価する仕組み、そして愛車との別れに寄り添う姿勢。そのすべてが、「また来たい」と思わせる磁力を生んでいた。

車の売却を検討している方にとって、最初の一歩はハードルが高く感じることもある。だが、「話だけ聞きに行く」「値段だけ確認する」。そんな気軽な使い方を受け入れてくれる場所が、確かにあった。


取材協力:WECARS多摩店 取材日:2026年6月(平日)

※この記事は2026年6月時点の情報で制作しています

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