免許返納で車はどうする?損しない処分方法と移動手段を徹底解説

高齢者の運転による事故リスクを減らすため、運転免許の自主返納を検討される方が増えています。警察庁の調査によると、2024年には約61万人が免許を自主返納しました。
しかし、長年運転してきた方にとって、免許を返納することは簡単な決断ではありません。「愛車をどう処分すればいいのか」「移動手段はどうするのか」「本当に生活できるのか」といった不安を抱える方も多いでしょう。
この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)かつ介護福祉士の視点から、免許返納後の車の処分方法、移動手段の確保、家計への影響について徹底解説します。
さらに、車買取事業者の監修コメントも交えながら、実践的なアドバイスをお届けします。
※この記事はプロモーションが含まれています。

免許返納後の車、2つの選択肢

免許を返納した後、車をどうするか。主な選択肢は以下の2つです。
自分で廃車にするというのは選択肢に入れません。手間とお金の無駄です。もう乗れないと思う車でも売却をすることをおすすめします。
必ず売れます。
1.売却する(推奨:必ずお金になる)
最もおすすめなのが、中古車買取業者に売却する方法です。
売却のメリット
- 買取金額が手に入る(現金化できる)
- 手続きが簡単(業者が代行してくれる)
- 運転できない状態でも出張査定・引き取り可能
- 自動車税の還付を受けられる場合がある
売却のデメリット
- 複数の業者に査定を依頼すると手間がかかる
- 思い出の詰まった愛車との別れが寂しい
売却は、車を手放す方のほぼすべてに適した方法です。「古い車だから売れない」「故障しているから無理」と思われがちですが、実はどんな車でも売却できます(詳しくは次章で解説)。
2.家族・知人に譲渡する
家族が車を使う予定がある場合は、譲渡も選択肢の一つです。
譲渡のメリット
- 愛車を家族が使い続けられる
- 買取業者を探す手間が不要
- 任意保険の等級を引き継げる場合がある
譲渡のデメリット
- 名義変更の手続きが必要(費用約5,000円):内訳として移転登録手数料(印紙代)500円、次に使用する方は車庫証明書の取得費用2,000円前後。軽自動車の場合は事務手数料は無料。※ナンバープレートの変更代を含まない
- 保険の手続きが複雑
- 家族が使わなくなった場合に再度処分が必要
譲渡する場合は、車検証の名義変更、自賠責保険・任意保険の変更手続きが必要です。手続きを怠ると、自動車税の請求が元の所有者(返納者)に届き続けるため、必ず対応しましょう。
【重要】車は必ず売れる!「0円買取」「廃車代行」に騙されないために

「車の処分にはお金がかかる」と思っている方が多いですが、それは大きな誤解です。
どんな車でも価値がある理由
車は以下のような理由で、必ず何らかの価値があります。
- 部品としての価値:エンジン、ミッション、ドア、バンパーなど、中古部品として再利用できます。
- 鉄くずとしての価値:走行不能な車でも、鉄スクラップとして買い取られます。鉄の相場にもよりますが、軽自動車でも数千円〜数万円の価値があります。
- 海外への輸出需要:日本車は海外で高い人気があります。日本では価値が低いとされる過走行車や古い車でも、東南アジアやアフリカなどで需要があります。
【気をつけて!】0円買取・廃車代行の罠
「0円で引き取ります」「廃車代行します」という業者には要注意です。
0円買取の問題点
- 本来価値がある車を無料で引き取り、業者が転売して利益を得ている
- 適正な査定をせず、売り手が損をする仕組み
廃車代行の問題点
- 「廃車費用」として数千円〜数万円を請求される
- 実際には車に買取価値があるのに、逆に費用を取られる
特に免許返納された方は「運転できないから早く処分したい」という心理から、こうした不利な条件を受け入れてしまいがちです。
買取は手間なく行えますから、必ずお金を得てください。
【FPが解説】適正価格で売却する方法
適正価格で売却するためのポイントは以下の2つです。
1. 複数の買取業者に査定を依頼する
1社だけでは適正価格かどうか判断できません。最低でも3社以上に査定を依頼しましょう。
3回も手間、という方でも安心してください。店に行かずに、出張査定は今や当然。さらに、3社一度に査定に来てもらうのも普通です(業者もそれを求めています)。さらにさらに、査定を家に来なくても車をお店に運ばなくても行える、電話で済ませられる業者もあります。
2. 売却時期を考慮する
自動車税は4月1日時点の所有者に課税されます。年度末に近いほど税金の還付額は少なくなるため、免許返納を決めたら早めに売却することをおすすめします。
【FPコメント】
「車の処分にお金がかかると思っている方が非常に多いのですが、それは間違いです。どんな車でも素材としての価値があり、0円ということはありえません。
税金還付の観点からも、売却時期は重要です。自動車税は年度単位で課税されるため、年度末に近づくほど還付額は減ります。免許返納を決めたら、できるだけ早く売却手続きを進めることで、経済的なメリットを最大化できます。
複数の買取業者に査定を依頼することで、数万円〜数十万円の差が出ることも珍しくありません。面倒に感じるかもしれませんが、大切な資産を適正価格で売却するために、ぜひ実践してください。」
【比較表】処分方法別の費用・手間・メリット
免許返納後の車の処分方法を、費用・手間・期間の観点から比較します。
| 項目 | 売却(推奨) | 譲渡 | 自分で廃車手続き |
|---|---|---|---|
| 費用 | プラス(お金を受け取れる) | 名義変更費用約5,000円 | 手数料・運搬費1〜3万円 |
| 手間の少なさ | ★★★★★ (簡単) | ★★★☆☆ (書類が多い) | ☆☆☆☆☆ (非常に複雑) |
| 期間 | 1週間〜2週間 | 2週間〜1ヶ月 | 2〜4週間 |
| おすすめの人 | 1週間〜2週間 | 家族が使う予定がある | 推奨しない |
| 注意点 | 高値を狙うなら複数社比較が重要 | 保険の等級引継ぎ確認 | 運転できない状態では困難 |
売却のメリット・デメリット
メリット
- 買取金額が手に入る(経済的メリット大)
- 業者が名義変更などの手続きを代行してくれる
- 出張査定・無料引き取りで運転不要
- 自動車税の還付を受けられる
デメリット
- 高額を狙うなら、複数業者への査定依頼に多少の手間がかかる
- 業者選びを間違えると適正価格で売れない可能性
こんな方におすすめ
- 車を現金化したい方
- 手続きを業者に任せたい方
- 運転できない状態で車を処分したい方
譲渡のメリット・デメリット
メリット
- 愛車を家族が使い続けられる
- 任意保険の等級を引き継げる場合がある
- 売却先を探す手間が不要
デメリット
- 名義変更の手続きが必要(陸運局での手続き)
- 自賠責保険・任意保険の変更手続きが複雑
- 家族が使わなくなった場合に再処分が必要
- 名義変更を忘れると税金請求が来続ける
こんな方におすすめ
- 家族が明確に車を使う予定がある方
- 保険の等級が高く、引き継ぐメリットがある方
自分で廃車手続きをする場合(非推奨)
メリット
- なし
デメリット
- 運輸支局での手続きが複雑(平日のみ受付)
- 必要書類が多い(車検証、印鑑証明書、ナンバープレートなど)
- 運転できない状態では車の移動が困難
- 手数料や運搬費用がかかる(1〜3万円)
- 本来得られるはずのお金をもらえない
結論としては自分で廃車手続きをするメリットはありません。買取業者に売却すれば、手続きを代行してもらえる上に買取金も受け取れるため、圧倒的に売却がおすすめです。
運転できない状態で車を売却する方法
「免許を返納したら運転できないから、車を買取店まで持っていけない」という不安をお持ちの方も多いでしょう。しかし、ご安心ください。運転できなくても売却は可能です。
出張査定・無料引き取りサービスの活用
多くの買取業者は、出張査定・無料引き取りサービスを提供しています。
出張査定の流れ
- 電話またはWebで出張査定を申し込む
- 自宅に査定員が訪問
- その場で査定額を提示
- 金額に納得したら契約・車の引き渡し
- 後日、指定口座に買取金額が振り込まれる(即日の事業者もあります)
メリット
- 自宅にいながら査定・売却が完結
- 運転する必要がない
- 複数の業者に出張査定を依頼して比較できる
注意点
- 出張エリアが限定されている業者もある
- 出張査定に対応していない業者もある(事前確認が必要)
買取業者選びの3つのポイント
運転できない状態での売却では、買取業者選びが特に重要です。
ポイント1:出張査定・自宅までの陸送に対応しているか
自宅まで車を引取に来てくれる業者を選びましょう。
ほとんどの業者は出張査定も、家での引き取りも可能ですが、一部、対応していない業者もあります。
まずは、家に来てほしいし家から持っていってほしいことを伝えましょう。
もし走行できない不動車であれば、その旨も伝えましょう。
ちなみに、不動車であっても、自宅まで来てても、お金がマイナスになることはありません。
もしそのような話になったら、別の会社に依頼しましょう。
ポイント2:手続きを代行してくれるか
名義変更、廃車手続きなどを業者が代行してくれるか確認しましょう。
通常はここを代行するのは当然です。
「別途いただきます」といい出すところもあるかもしれませんが、私は知りません。
少なくとも大手でこれを別途請求するところはありません。
ポイント3:高齢者への配慮があるか
説明が丁寧で、契約内容を分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。高圧的な営業をする業者は避けるべきです。
【FPコメント】
「実際に免許返納された方の中で、自ら返納という方は少ないです。多くが家族から勧められてという方が多いです。
代替手段があればいいですが、公共交通機関が少なかったり、バス停まで遠かったり、色々と不便もあります。
そう言った方には段階的に、まずはサポートカー限定免許も紹介しています。
衝突や踏み間違いを起こさないような装置がついている車のみに乗れるというものです。
車を買うお金が難しくても、この免許があれば、たまにレンタカーやカーシェアを利用することもできます。」
中古車買取業者を利用した売却の流れ

具体的な売却の流れを、ステップごとに解説します。
1. 査定の申し込み方法
- 買取業者に申し込み
- 車の基本情報を伝える
- 出張査定または持ち込み査定の日程を調整
2. 必要書類の準備
売却時に必要な書類は以下の通りです。
必須書類
- 車検証(自動車検査証) ※車に載っているもの
- 自賠責保険証明書 ※車に載っているもの
- 自動車税納税証明書 ※なければ役所に取りに行きます
- 印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内) ※軽自動車の場合は住民票
- 実印 ※軽自動車の場合無用
- リサイクル券 ※車に載っているもの。なくても問題ありません
場合によって必要な書類
- 住民票(車検証の住所と現住所が異なる場合)
- 戸籍謄本(記載の名前と苗字が違うなどの場合)
- 委任状(家族が代行する場合)
書類が揃っていないと売却手続きが進まないため、事前に準備しておきましょう。印鑑登録証明書や住民票はコンビニでも取得できます。
3. 査定から売却完了までの期間と流れ
標準的な流れ
- 1日目:査定の申し込み
・電話またはWebで査定を申し込む - 3〜7日目:査定実施
・自宅または買取店で査定を受ける
・複数社に依頼している場合は、各社の査定額を比較 - 7〜10日目:売却契約
・最も高い査定額を提示した業者と契約
・必要書類を提出
・車を引き渡す - 14〜21日目:入金
・名義変更が完了後、指定口座に買取金額が振り込まれる
期間の目安 申し込みから入金まで、通常2〜3週間程度です。急ぎの場合は、即日査定・即日契約に対応している業者もあります。
カルモくんであれば、実車査定がないので、上記の「2.査定実施」が電話だけで簡単に行えます。
およそ1週間~10日の短縮、さらに査定員とスケジュールを合わせて家で待っていたり、買取店に行く必要がありません。
適正価格で手間もなく車の買取
4. 税金還付について
自動車税の還付 自動車税は4月1日時点の所有者に1年分が課税されます。年度途中で売却した場合、残り期間分の自動車税が還付される場合があります。
ただし、還付方法は業者によって異なります。
- 買取金額に含めて支払う業者
- 別途還付手続きをする業者
- 還付がない業者
契約前に還付の扱いを確認しておきましょう。
自動車重量税・自賠責保険料の還付 車検期間が1ヶ月以上残っている場合、自動車重量税と自賠責保険料の還付を受けられる場合があります。ただし、中古車として売却する場合は還付されないケースが多いです。
【FPコメント】
「売却時期によっては自動車税の還付を受けられます。年度末に近いほど還付額は少なくなるため、免許返納を決めたら早めの売却をおすすめします。
例えば、自動車税が年間34,500円(総排気量1.5L超〜2.0L以下)の車を9月に売却した場合、10月〜3月の6ヶ月分である約17,250円が還付されます。これは決して小さな金額ではありません。
また、複数の業者に査定を依頼することで、査定額に数万円〜数十万円の差が出ることも珍しくありません。「面倒だから1社だけでいい」と考えず、最低でも3社に査定を依頼することを強くおすすめします。」
車の名義変更と保険の手続き
家族に車を譲渡する場合や、売却時の手続きについて解説します。
譲渡時の名義変更が必要なケース
以下の場合は、車検証の名義変更が必要です。
※売却の場合ももちろん必要ですが、すべて買取業者が行います。
名義変更が必要なケース
- 家族に車を譲渡する
- 知人に車を譲る
- 車を相続する
名義変更をしないとどうなる?
- 自動車税の請求が元の所有者(返納者)に届き続ける
- 違反や事故があった場合、元の所有者に連絡が来る
名義変更は必ず行いましょう。
名義変更の手続き場所
- 新しい所有者の住所地を管轄する運輸支局(陸運局)
必要書類
- 車検証
- 譲渡証明書
- 新所有者の印鑑登録証明書
- 旧所有者の印鑑登録証明書
- 新所有者の車庫証明書
- 実印
- 手数料(約500円)
手続きが複雑な場合は、行政書士に代行を依頼することもできます(費用1〜3万円程度)。
上記、いずれにしても面倒です。個人間売買の場合も同じことを自分で行わなければなりません。譲渡や相続以外はやはり買取業者に売ってしまうのが手っ取り早いでしょう。
自賠責保険・任意保険の手続き
車を譲渡する場合、自賠責保険の名義変更も必要です。保険会社に連絡して手続きを行います。
※売却する場合は、買取業者が手続きを代行してくれることが一般的です。
売却する場合
- 車を売却したら、任意保険を解約します
- 保険期間が残っている場合、解約返戻金を受け取れることがあります
譲渡する場合
- 家族に譲渡する場合、保険の「車両入替」手続きを行います
- 等級を引き継げる場合があります(同居の親族に限る)
保険会社によって対応が異なるため、事前に確認しましょう。
免許返納の基本知識と新しい選択肢
免許返納の手続きと、近年注目されている「サポカー限定免許」について解説します。
自主返納の手続き方法
返納手続きの流れ
- 最寄りの警察署または運転免許センターへ行く
- 運転免許証を提出
- 申請書に記入
- 運転免許証が返納される
必要なもの
- 運転免許証
- 印鑑(不要な自治体もある)
- 本人確認書類(健康保険証など)
手数料
0円
※代理人による返納 本人が警察署に行けない場合、家族などが代理で返納することも可能です。委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
運転経歴証明書とは

引用:兵庫県警察
運転経歴証明書は、免許返納後に身分証明書として使える証明書です。
特徴
- 顔写真付きの公的身分証明書として使える
- 有効期限なし(ただし、2012年4月以降に交付されたもの)
- 一部の店舗や施設で割引特典が受けられる
発行方法
免許返納時または返納後5年以内に、運転免許センターで申請します。
発行費用 (自治体により異なる)
運転経歴証明書発行は持ち方によって以下の金額がかかります(警視庁の例)。
| 保有状況 | 手数料 |
|---|---|
| 運転経歴証明書のみ | 1,150円 |
| マイナ経歴証明書のみ | 900円 |
| 運転経歴証明書と マイナ経歴証明書の2枚持ち | 1,250円 |
活用例
- 銀行口座開設時の本人確認
- 携帯電話の契約
- 高齢者優待サービスの利用
マイナカードが普及していますが、免許返納後も身分証明書が必要になる場面は多いため、運転経歴証明書の発行をおすすめします。
返納のメリットと特典
メリット
- 交通事故リスクの軽減(最大のメリット)
- 経済的な負担の軽減(年間約17万円)
- 家族の安心
自治体の特典例
- タクシー利用券の交付(1〜3万円分)
- バス・電車の運賃割引
- デマンド交通の利用補助
- 商業施設での割引(運転経歴証明書提示)
特典の内容は自治体によって大きく異なります。お住まいの自治体のWebサイトや窓口で確認しましょう。
【新制度】サポカー限定免許という選択肢

引用:福岡トヨペット
2022年5月13日から、「サポカー限定免許」制度が開始されました。これは、免許返納の前段階として注目されている新しい選択肢です。
サポカー限定免許とは、安全運転サポート車(サポカー)のみ運転できる限定免許です。
サポカーの条件
以下の機能を備えた車のみ運転可能
- 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
- ペダル踏み間違い時加速抑制装置
日本車では2021年にサポカー減税があったため、ほとんどの車種でサポカーを採用しています。
サポカー限定免許のメリット
- 完全返納より心理的ハードルが低い
- 安全性の高い車のみ運転できる
- 車は手放すが、いざというときに家族の車(サポカー)を運転できる
- レンタカーやカーシェアでサポカーを利用できる
- 完全返納への移行がスムーズ
こんな方におすすめ
- 完全返納に不安がある方
- 緊急時のために運転できる状態を残しておきたい方
- 家族がサポカーを所有している方
注意点
- サポカー以外の車は運転できない
- サポカーを所有しない場合、レンタカーやカーシェアの利用が前提
- 自治体によっては返納特典の対象外
【FPコメント】
「2022年5月から始まった「サポカー限定免許」は、安全運転サポート車のみ運転できる免許です。車は手放すけれど、いざというときに家族の車やレンタカー、カーシェアで運転できる選択肢を残しておきたい方に適しています。
例えば、以下のような使い方が考えられます。
- 普段は車を持たず、公共交通や宅配サービスを利用
- 緊急時や遠出が必要なときだけ、家族のサポカーを借りる
- 月に1〜2回、カーシェアでサポカーを利用
完全返納の前のステップとしても有効です。「いきなり免許を手放すのは不安」という方は、まずサポカー限定免許に切り替え、数年後に完全返納するという段階的なアプローチも検討する価値があります。」
免許返納後の移動手段を確保する

免許返納後の最大の不安は「移動手段の確保」です。車がない生活を現実的にシミュレーションしましょう。
タクシーの活用
今の生活を大きく変えることなく変更できるのはタクシーの利用です。
好きなときに好きな場所まで、自分の家から移動できます。
利用例
- 通院:月2回、片道2,000円 → 月8,000円
- 買い物:月4回、片道1,500円 → 月12,000円
- その他:月2回、片道1,000円 → 月4,000円
- 合計:月24,000円、年間288,000円
課題
最も柔軟性が高い移動手段ですが、費用が高いのが難点です。日常的にタクシーを使うと、車の維持費(年間約17万円※)のマイナス分を大きく上回ってしまいます。
デマンド型交通(予約制乗り合いタクシー)の活用

引用:彩和タクシーグループ
タクシーと並び、今の生活を大きく変えることなく変更できる交通手段です。事前予約制の乗合タクシーで、自治体が運営していることが多いです。
特徴
- タクシーより安い(1回300〜500円程度)
- 事前予約が必要(前日までなど)
- 乗合のため、目的地まで時間がかかる
- 運行エリアが限定される
課題
デマンド交通は期待されていますが、まだ全国的に普及しているわけではありません。お住まいの地域で利用できるか確認が必要です。
公共交通機関の利用(シルバーパス・高齢者割引)

引用:佐賀市交通局
車の維持費がなくなった分で生活するとすれば、選択肢として上がってくるのは公共交通機のバスの利用です。コミュニティバスや路線バスを活用します。
費用例
- 1回200円、週5回利用 → 月4,000円、年間48,000円
※シルバーパス制度 自治体によっては、高齢者向けのバス乗り放題パスを発行しています。
例:東京都シルバーパス
- 年間20,510円(住民税課税者)
- 年間1,000円(住民税非課税者)
- 都営バス・民営バスが乗り放題
お住まいの地域にシルバーパス制度があるか確認しましょう。
課題
- バスの本数が少ない地域が多い(1時間に1本など)
- バス停まで歩く必要がある
- 通学時間帯以外は本数が極端に少ない地域も
- 待ち時間が増える
家族による送迎
家族が同居していたり、近くに住んでいる場合、送迎をお願いすることも選択肢です。
メリット
- 費用がかからない
- 安心感がある
デメリット
- 家族の負担が大きい
- 家族の都合に合わせる必要がある
- 頼みにくいと感じる方も多い
スーパー宅配・生協・移動販売サービス
スーパーやコンビニの宅配サービス、地域によっては、移動販売車が巡回していますからそれを利用することで、異動の頻度を減らせます。
宅配は多くのスーパーがサービスを提供しています。
費用例
- 配送料:1回500円
- 週1回利用 → 月2,000円、年間24,000円
生協(コープ)の宅配はさらに配送料が1回100〜200円と安いです。
他にもAmazonや楽天などのネット通販で日用品や食品も購入できます。
ただし、移動をしなくなることで、活動量が減ることも意識しましょう。
移動手段確保の現実的なシミュレーション
シミュレーション例
現在の車の使い方(週の想定)
- 買い物:週2回
- 通院:月2回
- その他(趣味、友人訪問など):週1回
- 合計:月約14回
返納後の移動プラン
- 買い物:宅配サービスで週1回(月4回) → バス利用1回、徒歩圏1回に削減
- 通院:デマンド交通またはタクシー(月2回)
- その他:家族送迎またはバス(月2回)
月間費用の試算
- 宅配サービス:500円×4回 = 2,000円
- バス:200円×4回 = 800円
- デマンド交通:500円×2回 = 1,000円
- 家族送迎:0円(ガソリン代は家族負担)
- 合計:月3,800円、年間45,600円
車の維持費(年間約17万円)と比較すると、年間約12万円の節約になります。
ただし、現実的な課題
- バスの待ち時間が増える(1時間に1本の場合、30分程度の待ち時間)
- バス停までの徒歩(片道5〜10分)
- 買い物袋を持って歩く体力
- 移動の自由度が大幅に低下
【FPコメント】
「免許返納は単なる「節約」ではなく、「安全と安心への投資」です。ただし、移動手段が十分に確保できるかは地域差が大きいため、返納前に必ずシミュレーションを行うことが重要です。
車の維持費(年間約17万円)に対し、代替交通費は使い方次第で年間5〜8万円程度に抑えられるケースが多いですが、以下の条件を満たしているかが鍵となります。
確認すべきポイント
- 公共交通機関(バス・電車)が利用できる範囲にあるか
- 宅配サービスが対応している地域か
- 家族のサポート体制があるか
- デマンド交通などの地域サービスがあるか
これらが十分に揃っていない場合、タクシー利用が増え、かえって費用が増加する可能性もあります。
介護福祉士の視点から補足すると、移動回数が減ることによる健康への影響(フレイル)も考慮する必要があります。経済的にはプラスでも、社会参加の機会が減ってしまっては本末転倒です。
フレイルを防ぐには、以下の工夫が有効です。
- 地域のサークル活動や趣味の会に参加する
- デイサービスなどの介護予防サービスを活用する
- 家族や友人との交流を意識的に増やす
- 宅配だけに頼らず、週1回は外出して買い物をする
家族の理解とサポート体制を整えることが、免許返納後の生活の質を保つ鍵となります。
※年間17万円は以下の内容で計算したものです。住まいや車の乗り方、燃費などによって変わりますので、自分の車の維持費を改めて計算して比較するのが良いでしょう。
ガソリン代(7,040円/月、84,480円/年※週110km、燃費10km/L、160円/L)、自動車税10,000円(軽自動車の場合)、重量税3,000円(車検時、軽自動車)、車検基本料10,000円(2年に1回を年換算)、自賠責保険10,000円(車検時、年換算)、任意保険50,000円、駐車場代0円(自宅駐車場の場合)、合計約169,000円」
収支シミュレーション例

モデルケース:70代夫婦、地方都市在住
- 現状(車あり)
・車の維持費:年間169,000円
・移動の自由度:高い
- 返納後(公共交通+宅配)
・代替交通費:年間96,000円
・自治体特典:タクシー券2万円分
・実質負担:年間76,000円
・年間節約額:93,000円
- 車の売却益
・10年落ち軽自動車:買取価格30万円
・初年度の実質メリット:約39万円
- 注意すべき点
・移動の自由度は大幅に低下
・バスの待ち時間が増える(1日平均30分〜1時間)
・買い物の荷物を持って歩く必要がある
・家族のサポートが前提
まとめ:免許返納後の新しい生活を前向きに
長年乗ってきた愛車との別れは、簡単な決断ではありません。ハンドルを握ることで感じていた自由や、行きたいところへいつでも行ける便利さを手放すことに、喪失感を覚えるのは自然なことです。
しかし、免許返納は「終わり」ではなく、「安全で安心な新しい生活の始まり」です。
高齢者の運転による事故は、本人だけでなく、被害者やその家族、そして自分の家族にも大きな影響を与えます。ご自身と周囲の人々の安全を第一に考えた免許返納は、賢明で勇気ある決断です。
不安や寂しさを感じることもあるかもしれませんが、安全と安心を手に入れた選択を誇りに思ってください。家族や地域のサポートを受けながら、前向きに新しい生活を楽しんでいきましょう。
よくある質問(FAQ)
- 免許返納前に車を売却してもいい?
-
問題ありません。
免許返納前に車を売却しても、法的に問題はありません。むしろ、以下の理由から、免許がある状態での売却がおすすめです。
- 車検切れの車でも売却できる?
-
売却できます。車検が切れていても、買取業者は問題なく買い取ってくれます。
- 古い車・故障車でも本当に売れる?
-
必ず売れます。10年落ち、20年落ちの車でも、故障車でも、必ず買い取ってもらえます。
- 家族に譲渡する場合の費用は?
-
約5,000円〜10,000円です。
※この記事は2025年10月時点の情報で制作しています

