ネクステージとオートバックスカーズが在庫連携システム導入、販売チャネル拡大で業界の流動性向上へ

株式会社ネクステージは11月11日、株式会社オートバックスセブンがフランチャイズ展開する車買取・販売店「オートバックスカーズ」との間で、在庫情報をオンラインで連携する新システムの運用を開始したと発表した。

中古車市場では在庫の流動性向上が業界全体の課題となる中、大手企業間でのデジタル連携により、消費者の選択肢拡大と販売機会の増加を両立する動きといえる。

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取り組みの概要

新システムでは、ネクステージとオートバックスカーズの在庫管理システムがオンラインで連携する。
これにより、オートバックスカーズに加盟する約400店舗において、ネクステージが保有する「修復歴なし」の中古車のうち、傷などの車両状態が確認できる展開図付きの車両情報を閲覧・販売できるようになる。

対象となるのはネクステージの在庫の一部で、高品質車両に限定される。
オートバックスカーズでは掲載車両数が大幅に拡大し、より幅広い車種・価格帯から顧客への提案が可能となる。
一方、ネクステージにとっては新たな流通チャネルが加わることで販売機会が増加し、在庫回転率の向上が見込まれるとしている。

背景・市場文脈

中古車市場では近年、在庫の流動性向上が重要なテーマとなっている。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の統計によれば、2024年度（2024年4月～2025年3月）の中古車登録・届出台数は前年同期比0.3％増の646万7,884台となり、2年連続で前年実績を上回った。ただし、増加率は小幅にとどまっており、販売店にとって在庫の効率的な回転が経営課題となっている。

こうした中、デジタル技術を活用した企業間の在庫連携が進みつつある。ネクステージは2025年10月に中古車業販向けプラットフォーム「ネクステージストック」を本格稼働させており、今回の提携はその延長線上にある取り組みといえる。
オートバックスカーズは全国411店舗（2025年10月時点）を展開する大規模フランチャイズであり、地域に根差した販売網との連携は、ネクステージにとって販路拡大の効果が期待される。

また、消費者側の購買行動も変化している。オンラインでの車両情報閲覧が一般化する中、実店舗でも豊富な選択肢を提示できる体制が求められるようになっている。

買取事業者の連携で車売却にも好影響か

消費者にとっては、オートバックスカーズの店舗でネクステージの在庫にもアクセスできることで、比較検討の幅が広がるとみられる。ただし、対象となるのは「修復歴なし」かつ展開図が確認できる車両に限定されるため、全ての在庫が対象となるわけではない。

業界全体では、大手企業間でのデジタル連携が加速する可能性がある。在庫情報のオープン化は、中小の販売店にとっても同様の仕組みを検討する契機となるだろう。

中長期的には、事業者間でデジタル連携が進展することで、中古車流通における中間コストの削減につながるとの見方もある。
複数の販売事業者が互いの在庫を参照できるようになれば、これまで中古車検索プラットフォーム経由で得られていた情報の一部が直接店舗で把握できるようになり、この流れがさらに広がれば販売店の仲介サービスへの依存度が低下する。
その結果、広告費用などのコスト削減分を買取価格に還元できる余地が生まれるというシナリオだ。
ただし、このシナリオが実現するには業界構造の大幅な変化が前提となる。

ネクステージは今回の発表で「業界各社との協業を通じて在庫の流動性を高め、自動車業界全体のさらなる活性化を目指す」と説明しており、今後も同様の提携が続く可能性がある。

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