ネクステージ、短時間勤務でも目標達成で賞与支給する「子育て支援セールスショートタイム制度」を導入

株式会社ネクステージ（本社・愛知県名古屋市）は10月23日、中学3年生以下の子を持つ販売・買取スタッフを対象とした「子育て支援セールスショートタイム制度」を導入したと発表した。同制度は2025年7月から運用を開始しており、10月時点で11名が利用。1日4時間から勤務可能で、目標達成時には短時間勤務による控除分を賞与で補填する仕組みとなっている。販売職という成果を求められる職種において、時短勤務と収入維持の両立を図る動きとして注目される。

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制度の概要と仕組み

新制度では、中学3年生以下の子を持つ販売・買取スタッフが、1日4時間（週20時間）以上から勤務時間を選択できる。勤務時間帯は固定制で、フレックスタイム制は適用されない。

特徴的なのは報酬体系だ。基準を達成した場合、短時間勤務によって減額された給与分を賞与として支給することで、実質的な収入維持を可能にしている。変更申請はクォーター単位で行える。また、厚生労働省が2025年度から実施する育児時短就業給付制度との併用も可能で、時短期間中の賃金の約10%が国から支給される仕組みも活用できる。

実績と利用状況

同社によれば、2025年7月の運用開始初月から複数の社員が制度利用を開始。8月には利用者が10名に拡大し、そのうち1名が制度利用下で初めて販売目標を達成した。10月時点では11名が制度を活用しており、これまでに3名が目標達成に至っているという。

初の目標達成者となった村井妃奈乃氏（SUV LAND金沢／販売営業）は「子育てと仕事の両立は想像以上に難しく、時短勤務を選ばざるを得ない状況に、悔しさや焦りを感じることもあった」とコメント。「今回導入された制度のおかげで、努力がきちんと評価され、初の目標達成者として認められたことが、大きな励みと自信に繋がっている」と述べている。

背景：働き方の柔軟化と成果主義の両立

自動車販売業界では、営業職の長時間労働や店舗勤務の固定性が、育児期の従業員にとって課題となってきた。特に販売職は顧客対応や商談が業務の中心となるため、在宅勤務への移行が難しく、時短勤務を選択すると収入減少が避けられない構造があった。

一方で、労働力不足が深刻化する中、育児期の従業員の離職を防ぎ、キャリア継続を支援する制度の整備が業界全体の課題となっている。厚生労働省の育児時短就業給付制度が2025年度から開始されるなど、制度面での環境整備も進んでいる。

こうした中で、ネクステージの今回の取り組みは、時短勤務と成果評価を組み合わせることで、収入維持とキャリア継続の両立を図る試みといえる。同社は過去にも、地域貢献活動として「こども110番の家」活動を開始するなど、子育て世帯への配慮を示す施策を展開してきた。

販売職における時短制度の実効性

今回の制度は、限られた時間内での目標達成を前提としているため、効率的な業務遂行能力が求められる。1日4時間という勤務時間で販売目標を達成することは、顧客との接点時間が制限されることを意味しており、利用者には高い生産性が必要となる。

また、勤務時間帯が固定制である点も、保育園の送迎時間や子どもの急な体調不良への対応など、育児の実態に即して柔軟に運用できるかが課題となる可能性がある。10月時点で11名中3名が目標達成という実績は、制度の有効性を示す一方で、達成難易度の高さを示唆しているともいえる。

業界全体では、販売職の働き方改革や女性活躍推進が課題となっており、今回の取り組みが他社にも波及するかどうかは、運用実績とともに注視される。特に、成果達成率や利用者の定着率、制度利用後のキャリアパスなどが、制度の持続可能性を測る指標となるだろう。

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