テクノロジーによる最適解と、人間らしさの両立が鍵。WECARSトップバイヤーインタビュー

WECARSインタビュー

「ウィーカーズ、ですっ!」「中古車はウィーカーズ!」ーー看板のキャラクターが軽快に自己紹介をするCMで中古車販売・買取事業を展開する新しい会社の存在を知った方もいるかもしれません。

鮮やかな水色に白文字で社名を描いた看板は青空に浮かぶ空を思わせ、業界の主流だったインパクト重視の派手な色遣いとは一線を画しています。

顔のない企業のまま手軽さや価格のお得感を訴求するのではなく、人間味ある存在としてシンプルに社名と事業内容を伝える。潔さすら感じる構成からは、一台一台の愛車、一人ひとりの顧客に並走しようとする同社の強い意志が伝わってきます。

「お客さまファースト」を掲げる中古車業界の新星は、既存の常識をどのように変え、どのようなスタンダードをつくっていこうとしているのでしょうか。

買取部門を束ねる渡辺祥司買取事業部長にお話を聞きました。

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目次

車両情報をデジタル化し、ブレのない査定を効率的に実施

中古車の買取は、売る側と買う側の腹の探り合いーー。顧客が知らない愛車の市場価値を、お店だけが知っている。そんな情報の非対称性を利用して行われる取引が「情報をコントロールされている感じがして信頼できない」「安く買って高く売ろうとしているのでは」といったマイナスイメージにつながっています。
WECARSは、まずこの点にメスをいれました。

渡辺 今は、お客様自身がインターネットで相場を調べて来店する時代です。だから、足元を見るような取引は通用しません。中古車業界は、まずその前提に立って、駆け引きではなくフェアな交渉をする意識を持つ必要があります
そこで、お客様との信頼関係をつくる意識を浸透させることからスタートしました。

WECARS渡辺祥司氏
渡辺祥司(わたなべ・しょうじ)氏
株式会社WECARS 買取事業部長

2005年から中古車業界に身を置き、買取を中心に販売も経験。バイヤー時代は、車以外の話題も含めたウィットに富んだ会話で顧客との信頼関係を築き、トップバイヤーとして企業の業績を牽引した。株式会社WECARSでは、設立当初から事業本部の営業部門に所属し、現在は買取部門の責任者を務める。新人教育、中途社員研修などにも積極的に携わり、「お客さまファースト」の浸透に尽力。

買取の現場では、自社の大型展示場を活用し、全国エリアのニーズ・在庫・相場をリアルタイムで分析して人気の高いエリアの相場を提示します。

さらに、独自の査定システムを使い、「いつ、だれが査定しても公平な査定ができる」環境も整えました。経験年数や知見に依存する査定は、査定価格のぶれを引き起こし、企業・サービスへの不信感、査定価格への不満につながりかねません。

現在使用している査定システムは、車検証に記載されているQRコードから車両情報を読み取って査定するものですが、現場の声に対応する形で何度もカスタマイズを重ね、いらないものをそぎ落とす一方で当社独自の視点を盛り込んだシステムへと進化させました。おかげで、査定の精度はかなり向上し、属人化を脱却できています。

そうして査定を経て買い取った車は、店舗、および展示場での受け入れ検査を経て初めて店頭に並ぶのですが、修復歴のある車は販売しないというポリシーに基づき、車両検査専門会社による評価を実施することもあります。「とりあえず買い取って売る」のではなく、「WECARSブランドとして自信持って並べられる車だけを売る」ことで、「WECARSで買えば安心」と思ってもらえる土台をつくっています

システムで公平性・透明性を担保しつつ、人間味のある対応を

デジタル化によって、偏りのない査定を効率的に行えるようになったと話す渡辺氏。一方で、どんな車にもドラマがあり、オーナーの思い入れがあることを忘れてはならないといいます。

渡辺 「子どもが生まれたときに買って、家族でたくさんお出かけした車なんですよ」「ずっとほしくてほしくて、ようやく買って…今日まで大切に乗ってきたんです」ーー。査定の現場では、愛車にまつわるそんな思い出話を聞くことがあります。

むしろ、私が現場にいたときは、率先してそうした話を伺うようにしていました。チャイルドシートがあればお子さまのことを聞いたり、ゴルフバッグが積んであればゴルフの腕前を聞いたり。1台の車には、お客さまの人生を映すさまざまな要素が隠れていて、そのすべてが会話の糸口になるんです。私の場合、車以外の話をしている時間のほうが長い、なんてこともあったかもしれません(笑)。でも、それは大事なことだと思っています。思い入れのある愛車を手放すのは、誰でも少し切ないもの。だからこそ、その人の物語ごと愛車を受け取ります、という姿勢を示したかったんです。

査定額をお見せする際にも、「このカスタムに愛を感じました」「大事に乗られていた点は評価されています」といった話をすると、価格に加えて精神的な満足感が残りますよね。そうした積み重ねは、WECARSのブランド体験の向上につながるでしょう。

実際、そうやってお客さまと「人と人」の付き合いをしていると、「渡辺さんに買ってほしい」と言ってもらえることがあるんですよ。何年後かにまた愛車を持ってきてくださったり、ご家族やご友人を紹介してくださったりすることも珍しくありません。バイヤー冥利につきますよね。どんなにAIが進化しても、お客さまが内に秘めている感情や思い出まで汲み取って査定することはできません。それができるのは、これまでもこれからも人間だけでしょう。システムで公平な基準を示し、人間が温度感のある対応で丁寧にフォローする。その結果、「ちゃんと評価してくれたんだ」という納得感につながり、査定への不信感、ひいては業界に対する疑心暗鬼が解消されていく。そんな、データと感情のハイブリッドな買取こそ、「クルマを愛する一人ひとりのお客さまと、一台一台のクルマと向き合う」ことを目指すWECARSらしさであり、業界の新たなスタンダードをつくっていくための1歩になると信じています。

車の知識より人間性を重視して採用し、「選ばれるバイヤー」を育てる

データで土台をつくり、人間の感情で心を動かす査定を標準化するには、バイヤーの人となりが重要です。売上を上げることよりも、顧客の思いに並走することを意識した接客も必要でしょう。この点について渡辺氏は、人間性重視の採用と、「お客様ファースト」の精神の継承がポイントだと話します。

WECARS渡辺祥司氏2

渡辺 入社に際して、車の知識や業界経験は問いません。もちろんあるに越したことはありませんが、専門知識は段階的に行う研修で身につきますから、誠実で共感力があることのほうが重要です。

例えば、初めての商談で知識が足りず、お客様に満足な説明ができなかったとしましょう。そのとき、お客さまにお詫びして先輩に助けを求めることができる人と、わかったふりをして適当な話をする人に分かれると思うんです。私たちは、前者のような行動ができる人を採用したい。そういう人は、たとえ時間がかかっても、WECARSらしさを体現するバイヤーになってくれると思うからです。

「この人になら売りたい」「この人から買いたい」と思ってもらえる人間性を感じる人を採用し、私たちが大事にしている「お客様ファースト」の考え方を丁寧に伝えることによって、お客様に選ばれるバイヤーを一人でも多く育てていきたいと思っています

また、常にお客様ファーストで接客できるよう、バイヤーにノルマは課していません。厳しすぎるノルマはプレッシャーになり、お客様の不安や疑問に背を向けた独りよがりの商談につながる可能性があります。結果的に「お客様ファースト」の精神と現実との乖離が生まれ、社員の心もお客様の心も離れてしまうでしょう。各人の能力や意欲に応じた目標設定でモチベーションを引き上げる工夫はしていますが、数字で追い立てるようなことはせず、どんなときも「お客様ファースト」を貫ける環境を整えていくことも私の大切な役割です。

「売って終わり」にせず、長く続く関係性を育んでいく

中古車の買取・販売で生まれた顧客とバイヤーとの関係性は、契約書にサインした後もアフターフォローという形で続いていきます。アフターフォローにおけるコミュニケーションの充実は、お客さまが「良い人に頼んだな」「ずっとフォローしてくれていて安心だな」と感じる機会を増やし、ロイヤリティを高めるために欠かせません。

渡辺 アフターフォローは当然のことですが、ただ漫然とフォローするか、細やかな心遣いでお客さまに感動と喜びを提供し続けるかによって、お客さまとの関係性は大きく変わります。大切なのは、WECARSのファンになってもらうこと。そうすれば、リピートや紹介にもつながりやすくなるでしょう。
だから、契約して終わりじゃないぞ、とはよくみんなに伝えています。無料のオイル交換などのアフターサービスを知らせるダイレクトメールがただ郵送されてくるのと、そのダイレクトメールに「お車の調子はどうですか?」の一言が書き加えられているのとでは、お客さまが受ける印象は大きく違いますよね。

WECARSの強みは、大型展示場に整備工場を併設し、ワンストップのサービスを提供できることにあります。買い取った車が売れたことに満足せず、自社の強みを生かしてお客さまのカーライフに貢献する方法を考え続けること。そして、行動し続けること。
いずれ、システム化による査定の可視化が一般化しても、そうした積み重ねを怠らなければ、「人」の魅力で差をつけることができるでしょう。

カーライフを丸ごと支えたい——そんな想いが、これからWECARSに興味を持ってくださるお客さま一人ひとりに届くように。客観的で明確なデータの提示と、共感と理解に基づくコミュニケーションの両立で、中古車売買をライフステージに寄り添う「価値ある体験」へと昇華させていきたいと思います。

人生の次のステージに合った選択を一緒に考えるパートナーとして、私たちを選んでいただけたらうれしいですね。

取材を終えて

取材当日、WECARS本社ではキャリア研修が行われていました。
人間性を重視して採用し、採用後の研修で技術力と接客力を伸ばす方針を聞きながら思い出したのは、研修に向かう社員の皆さんの表情が一様に期待に満ちていたことです。「お客さまファースト」の想いに共感し、その想いを現場で体現するために学ぶことを喜べる。WECARSは、理想とする人材を、着実に採用できているのでしょう。

どんなにシステムが進化してもーーむしろシステムが進化したらなおさら、差別化のポイントは「人」になるはず。450店舗のすべてに「お客さまファースト」を貫くバイヤーがいるとしたら、これほど心強いことはありません。
愛車を連れて、WECARSのバイヤーに会いに行ってみたくなりました。

※この記事は2025年8月時点の情報で制作しています

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