車を1円でも高く売るための5つのテクニック

「できるだけ高く車を売りたい」——そんなとき、ただ査定に出すだけでは損をしてしまうかもしれません。
実はちょっとした準備や工夫、売却先の選び方で、査定額が数万円〜十数万円変わるケースも珍しくありません。この記事では、誰でもすぐに実践できる「車を1円でも高く売るための5つのテクニック」を、プロ目線でわかりやすく解説します。

テクニック1:売却タイミングを見極める
車の買取価格は、「いつ売るか」によって大きく変動します。
中古車市場には、高く売れる「狙い目の時期」と「避けたい時期」が存在するのです。
ここでは、年間を通じた売却カレンダーとモデルチェンジ、経済情勢などを踏まえた「ベストな売却タイミング」を解説します。
高く売れる「ベストシーズン」とは?
時期 | 理由 |
---|---|
1月〜3月(特に1〜2月) | 新生活・引越し需要が高まる/業者の在庫確保が活発になる |
7月〜8月 | ボーナスシーズン/9月の中間決算を見据えて買取が強気に |
9月〜10月 | 決算前の追い込み時期で高価買取が狙いやすい |
POINT
実際に中古車が売れる時期の1〜2ヶ月前が狙い目です!業者は需要期の前に在庫を仕入れたいものです。
避けたい売却時期
時期 | 理由 |
---|---|
4月上旬以降 | 新生活需要が終了/市場が落ち着く |
12月中旬〜下旬 | 年末で市場全体がスローダウン |
4月1日を過ぎると要注意 | 自動車税の新年度課税対象になるので節税ができない |
売り時カレンダー(年間まとめ)
月 | 売却おすすめ度 | コメント |
---|---|---|
1月 | ★★★★☆ | 新生活準備スタート。在庫確保で業者が強気 |
2月 | ★★★★★ | ピーク前で価格が高騰しやすいベスト月 |
3月 | ★★★☆☆ | 本番期。ただし査定予約が集中しやすい |
4月 | ★☆☆☆☆ | 相場が落ち着き始める。節税効果も失う |
5〜6月 | ★★☆☆☆ | 特に動きはない時期。急ぎなら可 |
7〜8月 | ★★★★☆ | ボーナス期+決算前で積極買取期 |
9月 | ★★★★★ | 中間決算直前のラストスパート |
10月 | ★★★★☆ | まだ決算効果が残る時期 |
11〜12月 | ★★☆☆☆ | 年末で市場はやや停滞ムード |
季節以外のおすすめの「売るタイミング」

- その車のモデルチェンジ前:もし、現行モデルに乗っているのであれば、新型発表後は旧型の価値が急落する傾向があるので新しいモデルが出る前に売却を
- 走行距離10万km未満:10万kmを超えると「多走行車」として査定が厳しくなるので9万kmになったら意識を
- 円安時期:円安だと輸出向けの車が高く売れる傾向にあるのでチャンスです
- 新車供給遅れ:半導体不足などで新車が無いとなると中古車が高くなり、買取額も上がります
POINT
高く売れるタイミングを狙うのは有効ですが、完璧を求めすぎるとチャンスを逃すことも。モデルチェンジや税金、走行距離なども加味しながら、「今が売り時かも」と思ったらまずは査定を受けてみるのが成功への第一歩です。

中古車買取・販売店パティオ
代表・宮田さん
「実際、私たちの店舗でも2月の買取と4月の買取で10万円くらいの差が出たケースがありました。理由は、2月は新生活向けに車を探している人が急増するため、我々も在庫を確保するため高値で買い取る必要があるからです。
特に軽自動車やコンパクトカーは「進学・就職で車が必要になる層」に人気で、年明け〜2月中旬までは相場が上がる傾向があります」
テクニック2:査定前にやるべき減額対策まとめ
車を高く売るためには、車の見た目の印象だけでなく、書類や付属品の準備・NG行動の回避など、事前準備が大きなカギになります。
査定前にやるべき!5つのできること

洗車・車内清掃 | ボディの汚れ・ホコリを徹底除去。清潔感が第一印象を左右します。 |
タバコ・ペット臭の消臭 | 脱臭スプレーや換気で臭い対策を。嗅覚の印象は想像以上に重要です。 |
私物の撤去 | 小物やチャイルドシートなど、私物はすべて出してスッキリと。 |
付属品の準備 | 整備記録簿、説明書、スペアキー、純正パーツなどを揃えて提示。 |
社外パーツの対処 | カスタム車は純正部品も一緒に提示。復元可能性を示すと高評価に。 |
POINT
同じ条件の車でも、第一印象、見た目の印象だけで数万円の差がつくこともあります。車内清掃は買い取った業者も行うのでいらないと思われがちですが、査定前にしたほうが良い結果を得られる場合も多いようです。

中古車買取・販売店パティオ
代表・宮田さん
「ペットの毛やお菓子、コーヒーがこぼれているなど、かなり使用感がある場合は、正直なところ印象はあまり良くないです。買い取る僕らが掃除すれば関係ないと思われるのでしょうが、そういう部分から大事に使われていたかどうか、車への愛情や整備の仕方が見えてきます。そうした点もきれいな車なら安心ですし、最終的な査定としても「うちで売りたいな、欲しいな」と思えたら査定額も上がりますから。うちで売るのが心配な場合はオークションに流せばいいんですが、それだとやっぱり金額がそれなりになるわけです」
テクニック3:小傷やへこみを直さない
「この傷、直してから売ったほうが得なのかな…?」
車を売るとき、多くの方が迷うポイントです。しかし、結論から言えば 小さな傷やへこみは基本「そのままでOK」。むしろ修理しないほうがトクになるケースも多いのです。
修理すべきかの判断基準
状況 | 対応の目安 |
---|---|
・傷やへこみが小さい ・修理に数万円以上かかる | 修理せずそのままでOK。査定で減額されても修理代より安く済む可能性大 |
・目立つ損傷がある ・見た目に大きく影響する | まずはそのまま査定に出して、修理との費用対効果を確認してから判断 |
修理しないほうがいい3つの理由
- 修理費用のほうが高くつく
査定額アップ分よりも修理費が高く、結果的に赤字になる可能性あり - 業者は安く修理できる
業者は自社ルートで修理するため、個人で直すよりコスパが良い - 素人工事は減額リスク
市販の補修材やDIY修理が逆に目立ち、「改造」扱いになるケースも
傷やへこみの査定評価の仕組み
査定現場では、JAAI(日本自動車査定協会)の基準に基づいて評価が行われます。
傷やへこみによる減額は「点数方式」で計算され、1点=約1,000円の目安で査定額に反映されます。
傷の程度 | 減点目安 | 減額の目安 |
---|---|---|
爪が引っかからない程度の浅い傷 | 減点なし〜微小 | 0〜数千円 |
カードサイズ未満の傷 | 約10点 | 約10,000円 |
A4サイズ未満の傷 | 約20〜30点 | 約20,000〜30,000円 |
屋根の深い傷など目立つ箇所 | 最大80点以上 | 最大80,000円超 |
バンパーの傷は減額は小さいですが、ルーフやドアなど「目立つ場所」は評価に大きく影響します。
その他、査定に強く影響するダメージが以下のとおりです。
査定に強く影響する2大ダメージ
- 修復歴あり(骨格損傷)/大幅減額の対象。表面的な傷とは別格の扱い
- 構造部のサビ・腐食/車両の寿命や安全性に直結するため、重く評価されがち
POINT
修理よりも「現状で勝負」が基本。見せ方次第で、あの傷もどうにかなる可能性があります。

中古車買取・販売店パティオ
代表・宮田さん
「今は数年前に比べて、修理費用がかなり高くなっています。板金塗料も高くなっているので、ちょっと擦っただけの傷の修理も、昔は5,000円程度だったのが今は30,000円くらいかかることもあります。
しかし、傷によって査定額が30,000円上下することはなかなかありません。だから、修理には出さずそのまま査定に出してもらうほうが良いです。特に気を付けてほしいのは、自分でキットを買って修理すること。
これをしているだけで、うちでは査定額が下がります。業者さんに依頼しているなら良いのですが、自分で直しているのは印象が悪いです」
テクニック4:査定交渉で「あと5万円」を引き出す
車の査定額は「言い値が限界」ではありません。
少しの工夫で査定額を数万円アップすることも珍しくないのが実情です。ここでは、初心者でも実践しやすい交渉術を具体的に紹介します。
交渉の前にやるべき準備
- 相場を理解しておく
一括査定サイトや相場検索ツールで事前に目安価格を把握しましょう。 - アピール材料を整理
禁煙車・低走行・人気色・純正オプション・車検の残日数・定期整備記録、新しいタイヤなどは評価対象になります。
実践的な交渉テクニック5
- 希望額は最初に言わない
「〇〇円なら売る」と伝えると、それが上限になります。まずは業者の提示額を聞いてから比較・判断をしましょう。 - 「売る気」を示すと相手も本気に
「良い条件なら即決したい」と伝えると、業者も価格を頑張る傾向があります。 - 引き渡し希望日を明示する
業者の在庫確保ニーズと合えば、プラス査定のきっかけになることがあります。 - 査定士との接し方も「査定」に影響
フラットで礼儀正しい対応が、好印象と信頼感につながります。メンテナンスの気配りや車への愛着をさりげなく伝えましょう。 - 他社の見積もりを活用する
「他社では〇万円だった」と事実を提示することで、交渉力が一気に上がります。
ただし、虚偽の金額は絶対NGです。信頼を失い、その後の交渉が難しくなります。
迷ったら「一度持ち帰ります」でOK。無理に即決せず、「一度家族と相談してから」など時間を取る姿勢も有効です。 焦らず冷静に、かつ「主導権はこちらにある」という意識で交渉に臨みましょう。
POINT
- 準備 × 情報収集 × 柔軟な対応 の3点が交渉成功のカギ
- 少しの工夫が数万円の違いを生む
- 交渉に自信がなくても「比較」「丁寧な対応」「即決の意思」を意識すれば十分

中古車買取・販売店パティオ
代表・宮田さん
「今、比較中でまだ決めていない」と伝えるだけで業者の本気度が変わります。即決しない姿勢が重要です。あとは、買取の金額次第で御社で車買おうかなとか、身内にも他にも売りたい車があってとか言われたら頑張っちゃいますね。あと、査定額を見てからの交渉は是非おすすめしたいのですが、「この車 100万円で売ってるんだから90万円位で買取ってくれるんじゃないの?」というお客様が結構います。
売る側からすると、「そうなるとどこで儲け出すの?」という話ですよね。高価買取りとうたっているので期待してしまうのかもしれませんが、売っている金額ではなく、あくまで他の査定額や相場を見て交渉してほしいです」
テクニック5:複数業者に査定依頼して「高値」を見つける
テクニック4で「他社の見積もり」の話はありましたが、競争をさせなくても、そもそも買取業者によって数万円〜数十万円の差がつくことは珍しくありません。
この差額が相見積もりとしてテクニック4の交渉に生きてくるのです。
なぜ業者によって査定額に差が出るのか?

買取業者によって査定額に差が出るのには、業者側の事情が大きく関係しています。
業者の事情と価格差が出る理由
- 特異な車種・売り先の違い
業者ごとに強みの車種や販売ルートが異なるため評価が変わります。 - 在庫状況・販売目標
「在庫が足りない」「目標を達成したい」など、業者毎・担当毎で状況が違います。 - 担当者のやる気
担当者の持っている裁量により、その場の判断が変わります。また、交渉意欲によって価格が変動するケースも少なくないのです。
これらの理由により、業者ごとで査定額に差が生まれるのです。
POINT
「少しでも高く売りたい」なら、複数査定は「必須」のテクニック。 売却額に数万円の違いが出るなら、そのひと手間は「十分すぎるほど」の価値があります。

中古車買取・販売店パティオ
代表・宮田さん
「僕のところも他社の査定額を持ってきてくれたほうが交渉がしやすいです。それがないと、結局うちの情報を持って他社で交渉して決められちゃうことが多いので……。査定金額をある程度調べて、あとは話がスムーズそうなところに持ち込むのがいいと思いますよ」
複数業者の断り方
複数社に依頼していると、断りにくさを感じるかもしれません。
しかし、多くの業者は他社との比較を前提にしており、「断られること」も日常的に経験しているので、遠慮する必要はまったくありません。
逆に、曖昧な返事は「まだ迷っている」と判断されて営業が続く可能性があるため、やんわりでも「断る意思」をはっきり伝えることが大切です。
断り方のフレーズ例
- 「今回は他社さんの条件の方が合っていたので…」
- 「家族と相談して、別の業者にお願いすることにしました」
- 「申し訳ありませんが、今回は見送らせていただきます」
さらに、「もう他社に決めた」と伝えると、ほとんどの業者はあっさり引き下がります。
もし不安であれば、「対応は丁寧だったけど、条件が合わなかった」という一言を添えると、相手にも悪い印象を与えずに断ることができるでしょう。
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※この記事は2025年8月時点の情報で制作しています